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Redewendungen der Woche KW29/2021

先週(2021年第29週)にFBのページTwitterまたはNoteでご紹介した「Redewendung des Tages 今日のドイツ語慣用句」をまとめてご紹介します。


1. jemanden / etwas mit neuen / anderen Augen [an]sehen


意味: 新たな/違った目(視点・理解)で見る


例文: Dies ermöglicht Ihnen, die Welt mit neuen Augen zu sehen.(訳例:これによって、あなたは世界を新たな視点から見ることができます)


Und weil sie seit fünf Minuten ihren Mann mit ganz anderen Augen ansieht, fällt ihr auf, dass er die rechte Hand in der Hosentasche hat. - Hans Fallada, "Kleiner Mann – was nun?"(訳例:そして5分前から彼女は夫を全く違う目で見ているため、彼が右手をズボンのポケットに入れていることに気付く。ハンス・ファラダ「小男 ーさあ、どうする?」)


解説: 日本語では「新たな目で見る」「新しい目で見る」とは言いませんが、「違った目で見る」とは言いますよね。ドイツ語の mit anderen Augen [an]sehen はその日本語表現と同じですね。 日本語の「見直す」にも通じるものがありますが、この場合はこれまでネガティブな評価だったものが、ニュートラルまたはポジティブな評価に変わることを意味し(逆は「見損なう」)、上のドイツ語慣用句よりも意味する範囲が狭いことに注意しましょう。

物事はほんの少し視点を変えるだけで全く違って見えて来るものです。固定観念や自己の価値観に囚われずに自分とは違った考え方や価値観の人たちとも理解できるように、常に「mit neuen / anderen Augen [an]sehen」することを心がけたいですね。


2. nicht nur um jemandes schöner/blauer Augen willen; nicht nur wegen jemandes schöner/blauer Augen


意味: 親切・好意からだけではなく。 字義通りには「(人)のきれいな/青い目のためばかりでなく」


例文: Doch nicht nur um deiner blauen Augen willen!(訳例:でも、まったくの好意というわけじゃないよ!)


Wenn du glaubst, dass er das alles nur wegen deiner schönen, blauen Augen tut, dann irrst du dich aber.(訳例:彼がすべて君への好意からやってくれていると思っているなら大間違いだぞ)


解説: この慣用句はそれほど頻繁に使われるものではないのですが、面白い言い回しだと思いましたのでご紹介します。 um ... willen と wegen の2つのバリエーションがありますが、どちらも2格・属格支配です。 「um jemandes schöner/blauer Augen willen(人)のきれいな/青い目のため」がここでは「Gefälligkeit 親切・好意」の意味で使われているのですが、nicht nur という否定句なしで「親切・好意から」という意味になるのかというと、そういうわけではありません。言葉通りの意味のこともあります。


青い目というのは無知や無垢の象徴であるとともに、近世・現代の Schönheitsideal 美の理想像でもあります。このため、「um jemandes schöner/blauer Augen willen(人)のきれいな/青い目のため」というのは、本来、「その人の美の(向上または維持の)ため」ということです。人様の美しさのために何かをするというのは、整形外科医やエスティシャンなど職業的なサービスでもない限り、通常はただの好意ということなんでしょうね。男性が思う女性に服や宝石など美しく着飾るためのものをプレゼントするというイメージがもしかしたら根底にあるのかもしれませんね。

ちなみに古代ギリシャやエーゲ海文明、そしてローマ帝国においては、青い目というのは恐ろしいものの象徴でした。地中海の人たちはその紫外線の強さから、色素の多い褐色~茶色の目が主流で、青い目は北方のゲルマン民族くらいしか持っていませんでしたので、怖がられたようです。 この恐怖が「邪視」の迷信(青い目の人は邪視を持ち、その視線で不幸をもたらす)を生み、それに対抗するためのお守りとしてトルコのナザール・ボンジュウのような青い目のお守りが作られるようになったと考えられます。「青い目には青い目を」という感じでしょうか。


写真:2001年2月にトルコ・アンタルヤのバザールで購入したナザール・ボンジュウ


3. Auge um Auge, Zahn um Zahn


意味: 目には目を歯には歯を


例文: Wir werden uns diese Grenzübergriffe nicht länger gefallen lassen, Auge um Auge, Zahn um Zahn.(訳例:我々はこのような国境侵害をこれ以上許容しない。目には目を歯には歯を)


解説: これはあまりにも有名な Talionsformel 同害報復法の文言です。 私が子どもの頃は、これの出典はハムラビ法典だと習った記憶があるのですが、起源は実はそれよりももっと古く、古代メソポタミアのエシュヌンナ王国の法典、Codex Ešnunna エシュヌンナ法典に遡るそうです。アッカド語(楔形文字)で書かれた粘土板は1945年と1947年にイラクのシャドゥブム市の遺跡から発見され、紀元前1920年頃のものと言われています。 この法慣習が後のバビロン王ハムラビ1世の法典 Codex Hammurapi (紀元前1790~1750年頃)に引き継がれたわけです。


それが後に旧約聖書の出エジプト記(Das 2. Buch Mose, 21,24)に登場するモーセの掟として受け継がれました。 ドイツ語での「目には目を歯には歯を」の解説は、大抵聖書のこの箇所の言及にとどまり、それ以前の長いメソポタミア法の歴史に遡らないことがほとんどです(たとえば Duden Redewendungen, Geolino Redewendungen: https://www.geo.de/.../15562-rtkl-redewendung-auge-um...)。 どうしてなんでしょうね。

ちなみにルター聖書では、前置詞 um ではなく für が使われています

23Ist weiterer Schaden entstanden, dann musst du geben: Leben für Leben, 24Auge für Auge, Zahn für Zahn, Hand für Hand, Fuß für Fuß, 25Brandmal für Brandmal, Wunde für Wunde, Strieme für Strieme

現代人の私たちから見ると、この同害報復の原則は苛烈な感じがしますが、一族郎党の連帯責任などはこれによって制限されるため、過剰報復防止の意味があり、その点では実は穏健な原則と言えます。

4. unter vier Augen


意味: 二人きりで。 字義通りには「4つの目の下で」


例文: Ich möchte dich mal unter vier Augen sprechen.(訳例:ちょっと二人きりで話したいんだけど)


Wir sind doch hier unter vier Augen, du kannst ruhig zugeben, dass du dich in deine Kollegin verliebt hast!(訳例:ここは俺たちだけだろ。だからさ、お前の同僚に惚れたってもう認めちゃえよ)


解説: この慣用句は、2つの目で1人とカウントして、目が4つなら2人という単純な足し算に基づいています。すでに紹介したことのある「vier Augen sehen mehr als zwei(一人より二人で確認した方が確実だ)」という慣用句と同じ原則です。

unter uns, unter euch, unter ihnen, unter sich など、unter + 人称代名詞複数形で「~の間で」を表し、その後に「zwei」や「beiden」を加えれば、「unter vier Augen」と同じ意味になります。

また、どちらかというとユーモラスな応用として、内緒話を3人でしたい場合に「unter sechs Augen」などということもあります。



5.jemandem etwas vor Augen führen


意味: (人)に~を明らかにする、意識させる。 字義通りには「(人)の目の前で~を行う・動かす」


例文: Die Hochwasser-Katastrophe im Westdeutschland hat vor Augen geführt, wie hilflos der Mensch gegen Unwetter ist. (訳例:西ドイツの洪水災害は、いかに人が悪天候に対して無力であるかを明らかにした)


Die Ereignisse in NRW führen uns einmal mehr auf traurige und gleichzeitig beunruhigende Art und Weise vor Augen, dass der Klimawandel Realität ist. -Der Niedersächsische Umweltminister Olaf Lies zur Hochwasserkatastrophe(訳例:ノルトライン=ヴェストファーレン州での出来事は、哀しいと同時に悩ましい方法で気候変動が現実のものであることを私たちに再認識させる。ーニーダーザクセン州環境大臣オラフ・リースの洪水被害についてのコメント)



解説: この慣用句は特にニュースや政治討論などで頻繁に使われます。 人の目の前で何かをこれ見よがしに見せる、デモンストレーションのようなものが本来の意味です。 物事や出来事はそれ自体で何か意思を持って人に何かを見せるわけではありません。人がそれを見て勝手に何かを感じ、考え、解釈するのですが、物事や出来事を主語にすることによって、あたかもそれらが意思を持って何かを訴えているかのような擬人化の比喩表現となります。


例文は一昨日・昨日の西ドイツでの集中豪雨による前代未聞の洪水災害に関しての発言です。最初の例文は少しアレンジしてありますが、2つ目の例文はオリジナルの引用です。 被害者の方々にはこの場を借りましてお悔やみ申し上げます。


「異常気象-->気候変動または地球温暖化-->環境保護対策の強化」というほとんどステレオタイプの論理の流れで「vor Augen führen」が必ずと言っていいほど使われます。その意味ではかなり手垢のついた表現と言えるかもしれません。 それでも非ネイティブが自然災害についてドイツ語で語るときにこの表現を使えれば、かなりのドイツ語の使い手として一目置かれること請け合いです。


6. jemandem (klar) vor Augen stehen


意味: 頭の中に(はっきりと)ある、思い浮かべている、記憶に残っている、目に焼き付いている。 字義通りには「(人の)目の前に立っている」


例文: Wie die Häuser, Autos und sogar auch Menschen von einer gewaltigen Wassermasse mitgerissen wurden, stehen uns allen noch immer klar vor Augen.(訳例:どのように家や車や人まで暴力的な水の塊に引きずり込まれていったか、今でもみんなの目に焼き付いている)


Dieser Pflicht genügt er nicht, wenn er lediglich das nicht tut, was ihm als Unrecht klar vor Augen steht.(訳例:この義務は、彼がはっきりと不正として思い浮かべていることをしないというだけでは果たせない)


解説: この慣用句は、何かが目の前にあるかのようにはっきりとイメージできることを表します。その明確さを強調するために「klar」が使われることが多いですが、もちろん同義の「deutlich」も使われます。

それほどはっきりしたイメージでない場合は、stehen の代わりに schweben が使われます。 Mir schwebt so eine Idee vor Augen.(訳例:そういうアイデアが目に浮かんでいるんだけど) という感じの、schweben という言葉の意味通り「フワフワ漂っている」ようなイメージがあることを表します。

日本語の「目に浮かぶ」も想像・イメージすることを表しますよね。これはよく似ていると思います。 「vor Augen stehen」と「目立つ」はだいぶ意味が違いますが。


7. sein Augenmerk auf etwas richten/legen


意味: ~に特に注目・着目する 字義通りには「着眼点を~の方へ向ける」


例文: Der Wirt richtete sein Augenmerk auf die beiden Fremden.(訳例:店の主人はその二人のよそ者に注意を向けた)


Die Anleger richten ihr Augenmerk nun auf die ebenfalls heute anstehende Zinsentscheidung der Europäischen Zentralbank.(訳例:投資家たちの注目の的は今や、本日決定される欧州中央銀行の金利だ)


解説: das Augenmerk はオランダ語の oogmerk からの翻訳借用で、17世紀から使われている【雅語】に分類されます。 sein Augenmerk auf etwas richten という慣用句は18世紀初頭に文献に現れています。


通常は seine Aufmerksamkeit auf etwas richten というところをわざわざ Augenmerk に言い換えることでちょっと上等な雰囲気を醸し出せます。

Aufmerksamkeit の方が長いのでそっちの方が上等のような気がするかもしれませんが、長くても使用頻度が非常に高いと特別感はなくなりますよね。しかし、Augenmerk はこの慣用句の他は、「Sein Augenmerk liegt auf ...(彼の着眼点は~にある)」くらいにしか使われないため、希少価値があるのでしょうね。

Hauptaugenmerk(主要な着眼、注意の主眼)も auf etwas richten/legen か liegt auf etwas とともに使われます。

言わばインテリっぽい文章の定型のようなもので、広範囲の応用ができません。なので、クナイペでの議論でこんなことを言ったらきっと顰蹙を買うか、少なくとも妙な目で見られることでしょう。 会社の経済データ・市場分析などのプレゼンや大学などのレポートであれば、むしろ使うべき表現です。











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