ドイツ『シュピーゲル』紙でベストセラーランキング入りし、11か国語に翻訳された本書、ロルフ・ドベリ(Rolf Dobelli)氏の衝撃作『News Diet 情報があふれる世界でよりよく生きる方法』(サンマーク出版)を紹介させてください。
とはいえ、私が読んだのはドイツ語版『Die Kunst des digitalen Lebens: Wie Sie auf News verzichten und die Informationsflut meistern(デジタル生活の方法:ニュース断ちして情報過多をコントロールする方法)』(Piper Verlag)の方なんですが。
本書の要旨は、いかにニュースが無価値で時間の無駄であるばかりか、精神の毒となり、日常の幸せを奪うかということを著者自身の体験と様々な学術的な観点から徹底的に解説するものです。
バラバラのデータや情報ではなく、まとまって繫がりのある「知識」をインプットしましょうというお誘いでもあります。
私自身、一時期は語学の勉強も兼ねて、日独英米仏などの新聞・雑誌のニュースレターを購読しまくり、Tagesschau や Heute Journal、BBC や CNN、TV5 Monde などのニュース動画を閲覧しまくったので、それがいかに時間がかかることで、しかも長期的な身になる知識とならないかを身をもって体験しました。情緒不安定にまではなりませんでしたが、常に追い立てられるような焦燥感に駆られているような気がしましたし、「時間がいくらあっても足りない」という感覚がより強くなり、安眠ができなくなりました。
現在では「ニュース」は最小限にして、できる限り本を読むようにしているのですが、それでも読みたい本が貯まっていく一方で、読むのが追い付かない状態なので、「時間がいくらあっても足りない」という感覚は消えてません。
それでも、刻々と新しいものが入るニュースよりも気が散らなくて済み、自分の知りたいことの筋道を見定めることができるので、精神的な落ち着きは取り戻したと言えると思います。
私のはただの個人的な体験談ですが、ドベリ氏はニュース断ちをするメリットを学術的に証左しているので非常に説得力があり、今ニュースを一生懸命追いかけている方も「止めてみようか」と思うきっかけとなるのではないでしょうか。著者曰く、まずは30日間のお試し期間を実践してみるのが良いそうです。それによって、どれだけ時間の余裕ができて、精神が安定するかが既にわかるそうです。ぜひ、お試しあれ。
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ドイツ語を勉強中の方には、初級段階ではかなり難しいとは思いますが、同じ本の日独語版を読み比べてみるのもドイツ語の勉強、そして翻訳の勉強になると思います。
どちらも英語からの翻訳ですので、場合によっては日独語で多少英文の解釈の違いがあるかもしれません。
欲張って原作の英語を参照してみるのも興味深いのではないでしょうか。
同じ内容のものを違う言語で読むと、比較による気づきばかりでなく、内容自体にも異なる発見があることもあるので、良質な知的栄養になると思います。
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